Q. 人工股関節が進化し考え方も変わってきたのですね。その手術法について、先生はDAAというやり方を採用されているそうですが、これにつていて少しご説明いただけますか?

A. DAA(前方アプローチ)とは、大腿神経で支配している部分と坐骨神経支配部分の間から入っていく手術方法です。つまり、神経を引き伸ばさないで済むのがメリット。以前からあった展開の仕方ではあるんですけど、それが小さな切開でできるようになったので、そのやり方を採用しています。筋肉を切らない、侵襲が小さいということで術後の回復が早いのが利点ですが、視野が狭いのが欠点ですが、ナビゲーションシステムを利用していることで人工関節を正確に設置できます。

 

Q. どのような患者さんにもDAAで手術できるのですか?

A. 私は基本的にすべての患者さんに対して行っています。

 しかし、筋肉を切らないため脚延長がやや困難です。

 脚延長を2cm以上必要な患者さんは後方から

 手術してます。

 

Q. 入院期間も短縮したそうですね。

A. DAAでしかもナビゲーション使用していることもあると思いますが、術後4ー8日で退院です。入院期間も以前より短くなって、なおかつ良い状態で帰っていただけるようになりました。このことは、当院ではリハビリは365日毎日しています。リハビリが1日空きますと筋力も患者さんのモチベーションも下がってしまいますし、それが解消できるのは大きいですね。

 

Q. 手術後の痛みはないのですか?

A. 人工股関節自体に痛みはありません。ですから、多くの場合は翌日から体重をかけて歩いていただけます。

 

 

Q. 傷の痛みは?

A. 傷の痛みは多少はありますが、それよりも筋肉痛ですね。特に膝の周りの筋肉が落ちている方が多くて、まず膝の上あたりが痛いといわれます。そのあと、特にお年寄りは、お尻の筋肉などが痛いといわれます。ただそれも確実によくなりますので、そこは我慢してしっかりリハビリしていただきたいです。

私が印象に残っているのは、92歳の患者さんで車椅子で来られましてね、車椅子ということは日ごろ動いておられない訳ですから、手術してもよくならないんじゃないかと思ったんです。リハビリするのも厳しいんじゃないかと。しかしながら、退院するときは少し跛行(はこう:片足を引きずって歩くこと)がありましたけど、手術して退院2週間後にかくしゃくと歩いて来られました。お年寄りは若い人より時間がかかるかもしれませんが、やればそれだけ改善が見込めるという例ですね。もちろん骨のもろい方などもおられますし、その患者さんの状態以上のことを望むというのではリハビリ自体を嫌がられますので、見極めることが大切かなと思います。一般に6ヵ月で筋肉がつくといわれていますから、6ヵ月間は最低頑張っていただければと思っています。

 

Q. 退院後のリハビリは、それぞれがご自宅で続けられるのですか?

A. 基本、そうです。病院では廊下が広くて安全に歩くので、リズムに乗って長い距離歩けますけど、ご自宅には段差もあるし絨毯などの引っ掛かりもあれば、短く狭いところを動かなければなりません。動きが全く違うんですね。ですから入院して継続したリハビリが必要と判断された方を除いて、病院でできることをできれば、ご自宅で次のステージにいくほうが良いんじゃないかと思います。