ドイツ海外研修

*写真1はヴィルヘルム・レントゲン先生です。

当院受診時には股関節の X 線撮影をします。皆さんも健康診断などで胸部 X 線 撮影をしたことがあると思います。これもドイツ人レントゲン博士の発見のお かげです。1901 年第1回ノーベル物理学賞を受賞していまが先生は X 線撮 影普及のために特許も申請しなかったそうです。世界中の人々が現在も恩恵を 受けています。そんな医療の基礎を作ったドイツに 2016 年 12 月 11 日から 2016 年 12 月 17 日まで研修してきました。12 時間弱かけてドイツ中央部のフランクフルト国際空港到着し、さらにドイツ の新幹線 ICE(Intercity-Express)で南下すると最初の訪問地であるハイデル ベルグに夕方到着。ここにはドイツ最古のハイデルベルグ大学がある学生の街 でもあります。駅には学生や市民が使う自転車が所狭しと駐輪していました。

*図1はドイツ地図フランクフルトとハイデルベルグとバート・メルゲントハイムに滞在

ATOS 病院の Prof.Thorey は骨温存型の短い大腿骨側の人工股関節(ショートステ ム)を骨質の良い 60 歳以下の若年者に積極的に施行しています。そのため国外 からも患者さんが集まっているようで、ドイツ国内の平均(13.6%)よりショー トステムを使用する割合が高く、80%に達するそうです。骨温存型のショートス テムは初期固定力が問題でその注意点など、説明してもらいながら手術をして いただきました(日本では未導入の人工関節です)。

*写真2はProf.Thoreyの手術

手術の助手はギリシャ人とタイ人でしたし、見学中に北海道大学と東京医科歯 科大学からの日本人留学生も挨拶に来てくれましたので手術室には4カ国以上 の人間が多数集まっていたことになります。
ATOS 病院は 100 年以上の歴史ある私立病院ですが、最高の医療を「病院らしく 感じない病院」で行うことで患者さんの不安を少なくすることをモットーにし ているそうです。下記の写真は病院の1階フロアですが、ショッピングモール みたいです。

*写真3は1階フロア *写真4はエレベーター前

 

2番目の訪問地はバートメルゲントハイムで、高速道路アウトバーンを車 で移動しました。速度制限はないため時速 200km で走る車を追い越す車 もあり、思わずアシストグリップ(頭上の取っ手)に掴まってしまいまし た。

Prof. Christoph Eingartner にお会いすることができました。

*写真5はProf. Christoph Eingartner

*写真6は2階から撮影した1階フロア

先生がお勤めになるカリタス病院は非営利団体が経営し、460 ベッドでヘリポー トも完備している基幹病院でした。ドイツも医療費は抑制があり、国内の 2/3 の病院は赤字だそうです。20%が私立、25%がカリタス病院のような非営利団体 経営、55%が公立病院だそうです。 クリスマスシーズンのため手術は少ないとのことで初回手術が1つと再置換術 が1つでした。手術は中堅医師と最終学年学生の3人で行っていました。手術 手技は通常と変わりありませんが、特徴は人工股関節の設置・挿入時が慎重で、 安定性の確認が丁寧であることです。かなり経験豊富な先生という印象です。 再置換術はリウマチの患者で再置換3回目でしたので骨破壊されている部分を 広げないように時間をかけて丁寧に手術していました。この時も安定性を確認 し、不安定な原因である骨棘とセメントを除去していました。 ドイツでは日本と手術方法が違うため手技的に直接は勉強にはなりませんでし たが、日本で未発売の骨温存 short stem がドイツでは 60 歳以下の骨質良好な 患者に積極的に行われていることや、手術中の安定性確認の重要性の再確認となりました。また、ハイデルベルグの私立病院のモットーが最高の医療を「病 院らしく感じない病院」でというものが当クリニック石部の理念に一致してお り、共感しました。

 

最後になりますが、海外研修中はクリスマスシーズンでクリスマス市(いち) が行く都市、行く都市で開かれていました。最終日のフランクフルトでホットワインを飲見ながらブラブラしてると、クリスマス市の中を 子ども達が保育士に連れられている姿を見て微笑ましく感じていましたが、

*写真7はホットワイン、カップごと購入も可能です。

*写真8は保育士に付き添われクリスマス市を楽しむ子ども達

帰国後 12 月 19 日にベルリンでのクリス市でのテロ事件がおこりました。

市民 が楽しむべき場所で起こったテロ。

地元の人々の恐怖と悲しみは想像を超える ものだと思います。
亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。

 

 

“おまけ” 上記の道具は何に使用するかお分かりでしょうか?

筋鈎といい手術中に筋肉などを避けて手術部位を見やすくするものですが、正 式にはランゲンべック扁平鈎と言いドイツ人医師名前が付いています。他にもアドソン鑷子、コッヘル鉗子など現在でも普通に使用しているものもドイツ医 師の名前由来であることは、改めてドイツ医学の影響を感じます。

江戸時代に蘭学の医学分野はドイツ語をオランダ語に翻訳したもので、18-19 世 紀にはドイツの医学界が最高峰でした。また、明治時代に日本がお手本にした のはドイツでしたので名称もそのまま残っているのでしょう。